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テレビアニメ『マージナルプリンス』クリエイター会議にお邪魔しました!


----携帯電話のゲームであった物語をテレビアニメに組み替える点で苦労した点などは…?

早坂律子氏(以下早坂):携帯のゲームの場合はキャラクターごとに話が分かれていて、全体がつながっていないんですよね。最初から分岐しているお話をいかにしてひとつにまとめるか、というのはありましたね。…なんですか、横でうんうんって頷いて(笑)。

稲垣隆行氏(以下稲垣):いやいや。その通りです(笑)。




----今回、アニメオリジナルのキャラクターも登場するということで、アニメーションのフィールドとして軸にした部分はどんなところですか?

早坂:原作者の森本さんから「こういう感じで」と一番最初にいただいた構成があったのですが、その時点で既に「ジョシュアを話の中心に」というのがあったので、そこが最初から軸として出来ていた部分ですね。




----早坂さんは、アニメーション脚本依頼のお話が届いたときには、『マージナルプリンス』をご存知だったんですか?

早坂:『マージナルプリンス』のゲーム配信サービスが始まるにネットの記事で見て知っていました。なんですけど、私はDoCoMoユーザーではないのでゲームが遊べなかったんですね。それで「なんだ。遊べないんだ」ってそのときはそれきりで、現在に至るという感じですね。auでサービスされているのを知りませんでした…(笑)。




----『マージナルプリンス』のおもしろさって、どの辺だと思いますか?

早坂:ゲームに関して言えば完璧に出来上がっている世界で、「携帯ゲーム」という枠から絶対に外にだせない、非常によくできた作品だと思います。

吉田悟氏(以下吉田):完成度が高いですよね。

早坂:えぇ。テレビ電話でバーチャル恋愛をするという時点で、もう「参りました…」っていうところで。それだけで『真似できない』というか、ほかのハードにはこのままのかたちでは移せないものだから、ゲームとしてシステム的に完成されていますよね。だから、ほかのメディアでは間違いなく同じことはできない。同じことはできないというところで、アニメのおもしろさというのは「監督のアイデアがいっぱい♪」みたいな感じです。

稲垣:いえいえ(笑)。

早坂:私はもう、「はい。」といいながらやっています。




おやつは早坂さんさしいれのミスタードーナッツ。
エンゼルクリームについて論議(笑)



----もう、二人三脚という感じになっているんですか?

早坂:けっこう、私が頼っているところがいっぱいあって…いきなり「どうしましょう、ここ!!」とかいって、そこからまた2時間打ち合わせとかね(笑)。

稲垣:いえいえ。




----エピソードの構築などは、苦労しているポイントという感じですか。

早坂:…現在進行形で。




----ゲームのほうで、エピソードが進んでいくとキャラクターがプレイヤーのために歌ってくれるんですが、アニメーションのほうでどのように差し込まれていくのか、具体的な使い方を教えていただけますか?

吉田:それは、プロデューサーからのオーダーなんですよね。それありきでシナリオを書かなきゃいけない大変さはあるかもしれないですよね。。

早坂:あるときはBGM扱い、あるときはミュージカル扱いみたいな感じでやっています。それぞれのキャラクターの曲の使いどころとして、ポイントとして入れている感じですね。ただ、最終的にどこでどのようにを決めていくのかは演出サイドにお任せするしかないことなんですよ。なので、逆にあまり気にしていないです…(笑)。






----キャラクターで、動かしやすい動かしにくいとか、好きなキャラクターとかありますか?

早坂:アニメとしてやっている分には、アニメのキャラクターとして咀嚼していますので、誰が動かしにくいというのは現時点ではないですね。好きなキャラクター…いまこのお話をしている時点で作業が進んでいる物語のなかで、ソクーロフの出番がちょっと少ないので彼がまだよく分かっていなくて、「この人は変な人…」な印象があるくらいですけど(笑)。ゲームのシナリオを読んで気に入っているのはアンリかな。…底意地の悪い外道なヤツが好きなんですよ(笑)。
書いていて「このキャラが得意だな」とか「ちょっと苦手だな」って思ったりするキャラは、いたりしません? 監督。

稲垣:みんな好きです。

早坂:「早坂が書いてくるキャラクター、このキャラはいいんだけど、こいつはイマイチだよな」とか思ってません?

稲垣:そんなことはないですよ。でも、アンリは、早坂さんのお気に入りっぽいですけど、シナリオを読んでいる限りでは、セリフが少なくて、カメラを振るのがけっこう大変なキャラだったりしますね。

吉田:でも、セリフが少ない分、ト書きは多いよ。アンリ。「髪がどうこうしている」とか。

稲垣・早坂:(笑)

吉田:横顔がうるわしいとか。

早坂:そう。最近、力を込めて「キレイなシーン」とか「カッコいい」とか「美麗」とか、そういうむちゃくちゃなことをト書きに入れていますよね。「キレイに描け」とプレッシャーをかけるように(笑)。

吉田:でも、僕らは男じゃないですか。「ここで、女性はグッときたいんだな」というのが、1行書いてあると、できる出来ないはおいといても、指針にはなりますよね。

早坂:「このシーンはおいしい」みたいなね。そういう目安みたいな。

稲垣:それは、そうですね。

早坂:でも、アンリはセリフが少ないけど、少ない分厳選していますよね。

稲垣:厳選しているんですけど、「ここは説明が少ないな」って感じで、アンリのセリフを足したいなと思ったとき、「…何をしゃべるんだろう」っていう感じなんですよ。セリフが思いつかないの。

早坂:(笑)

稲垣:他のキャラは、普段使っているいいまわしとかって、それほど特別な口調ではないので、すぐに思いつくんだけど、アンリの場合、ほとんど無言だから、突発的にセリフを変更しようとすると、難しいんですよね。アンリは、フランス語をたまにしゃべるので「…思いつかない…」というのがたまにあります…(笑)。

早坂:そういうときは、とりあえずご相談ください(笑)。なんとかします(笑)。






----楽しみにしているファンへのメッセージ、意気込み、クライマックスへ向けての見どころなどを!

早坂:これからスタートするというのもありますし、後半は、まだナイショですね。

吉田:でも、後半の一発目でも、そうとう見どころポイントはありますよね。

早坂:ゲームのなかでも文化祭が大きなウェイトを占めているので、アニメのほうもそこに向かっていくようにしてありますし、アニメ用にアレンジしているのですが…。。

稲垣:「何かが…!」っていう感じですよね。

早坂:そうそう。原作の方のOKをいただいて動いているので、そういう意味でも、けっこう自由にやらせていただいていますね。

吉田:というか、原作者が毎回同席している本読みは、そうとう珍しいと思いますよ。

早坂:4時間、5時間と長い時間やっているのに…ずっといてくださって。

吉田:えぇ。それくらい濃い会議をさせていただいていますので。そういう気持ちが画面に出るといいですよね。

早坂:えぇ。おもしろいと思います。

吉田:今回のテレビアニメは1クールなんですけど、今後につながると思いますし、ぜひ、みなさんの声を聞かせていただけるとうれしいなと思っていますので、よろしくお願いします。

早坂:早坂:シナリオを私ひとりでやっているからこそいろいろと反映させられるところや引っ張れるところがあるので、その辺のところは監督とも細かく話しつつ作っていっています。個人的にいうと、もう少し本数が多いともうちょっと遊べるのにな…っていうのはありますね(笑)。


----有難うございました。
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平成17年度(第9回)文化庁メディア芸術祭審査委員会推薦作品
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