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スタッフ

■吉田 伸氏 第二弾
神楽のキャラクター性は、当初の企画よりもかなり変わってきていますよね。
  「なんて言うのかな……。神楽に周りの大人たちが合わせていくっていう、企画書的にはそういうことだったのかな。でも、僕としては、そこをそういうふうにはしたくないっていうのがあった。やや大人の話、雰囲気のある話にしたかったんです。大人の都合で神楽は延々と振り回されるという……」
やや現実的なストーリーになったということでしょうか。
  「ロボットに少年少女が乗るのかとか、少年を中心に大人が右往左往、というのは気持ち悪い。そんな事があるわけないじゃん、みたいな事が僕の根底にはあるんです。神楽の場合も、それと同じで」
なるほど。では、物語の結末の方に関しては、書き始めた最初の頃から見えていた感じですか?
  「一応、ここがゴールっていうのを決めないと、お話しがどっちに行くかわからないじゃないですか。だから、最後のシーン、最後のカットのイメージは初期から、橋本プロデューサーと話しながら、コレだ! っていうのはあって」
それは楽しみですね。
  「まさか、そこまで行くとは思わないだろっていうところをやるのがエンターテイメントなんです。最終回、こんなことにまでなっちゃうの? えーっ! って事になりますよ。そこまでやらないとね、脚本家としての楽しみがない(笑)」
10話くらいで、逃避行の末に長野方面に行って、結構、謎の核心に近いところまで行ったのかな? と思ったんですが……。
  「うーん……。でも、謎っていうのは、シリーズを引っ張っていく一要素にはなると思うんですけど、軸にはならないかな。物語を引っ張っていく軸というのは、まずキャラクターがいて、そのキャラクター同士の関わりあいですよね。物語の謎が解けたからといって、彼らキャラクター同士の関係も解けてしまうのかというと、そうではなくて。キャラクター同士の関係が解けたときに物語が収束するっていう。謎とか、物語の設定について語る部分だとか、そういう事が終わった後でも、ドラマって続くんですよね。僕は、その先を見たいんです。僕としてはキャラクターの生き様……その人物が、どういう行動をしていくのか、どんな運命を選んでいくんだろうっていう部分を見たい」
長期シリーズになるような人気ドラマは、もはやキャラクターだけで続いている、という作品が多いですね。
  「『鬼平犯科帳』とか観ていると、キャラクターが活き活きとして、勝手に動き出している感じがしますよね。ストーリーの整合性なんかは崩壊しちゃうんだけど、それでも全然、ノリがあって面白いというか。キャラクターを突き詰めていって、その奥まで行っちゃったほうが面白いかな、って僕は思うんですけど。『スピードグラファー』の場合、水天宮っていうのは、そこまで行けたかなとは思います。段々、水天宮のことが可愛くなってきてしまって、単なる悪人にはしたくなくなってきちゃいまして……。最後は結局、こいつが主人公だったのかもしれないって」
『スピードグラファー』には、名脇役が多いですよね。
  「キャラがもう、最優先なんですよね。キャラが立ってなかったら、そこでもう終わり。ストーリーがつまらない方向に流れていく。『スピードグラファー』のキャラは、全員、相当立ってますね。面白い、ユニークなキャラクターがいると、ストーリーを救ってくれるんですよね。各話脚本の鈴木さんと吉永さんは、そこをよく理解してくれていますね。特に鈴木さんは子悪党を愛してくれるんで(笑)」
書くのが難しかったシーンはありますか?
  「シーンというよりも、そこもキャラクターですね。正直しんどいな、と思ったのは……やっぱり雑賀かなあ。周囲に変わった人が多いという立ち位置になってしまって、どうしても主人公が普通にならざるを得ないというのがあって。もう一つの選択肢としては、主人公をもっとイっちゃってるキャラクターにするというのもあったんですけど」
雑賀は元戦場カメラマンという設定ですね。
  「普通なんだけど、特殊性もあって、というのを考えて、戦場カメラマンというところに落ち着きました。でも、戦場カメラマンっていう設定には、抵抗があったんです。何故かと言うと、今、実際に戦争が行なわれているわけですし、そこで命を落とす人もいる。そういう事を軽く扱うことになってしまうのは避けたい、というのが良心的にはありました。それに、真剣に考えれば、僕には、わざわざ戦場に行くっていう人の心情が、どうしても理解できないんです。だから、そこをリアルに描くことはできないんですね。だから、その辺りの事をどうしようかなっていう……。最終的には、そこの部分を突き詰めていく番組ではないし、そこはずるいんだけど語らずにフェードアウトしてしまう部分ですね」
インタビュー・構成:サガラノブヒコ
>>第3弾へ続く・・・

 

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