TOP story coordination character gallery event staff goods
スタッフ

■斉藤 圭さんインタビュー 第一弾
斉藤圭という存在は、あまりにも天王洲神楽……
例の秘密倶楽部の女神様と重なりすぎている……そう思いませんか?
そして『スピードグラファー』という作品が、色んな意味で規格外であるのと同様に、
斉藤圭という声優の在り方もまた、デビューの経緯からして規格外!

『スピードグラファー』の作品性に迫るべく続けてきた、このロングインタビュー。
だが、やはり『スピードグラファー』を語るのに、斉藤圭抜きなどありえないのではないだろうか? 
ということで、最終話アフレコを直前に控えた、暑い夏のとある日、都内某スタジオ近辺のファミレスで休憩中の斉藤圭さんを急遽キャッチ!

かくして出会った斉藤圭は、よくあるインタビュー記事などでありがちな、形式通りの、形骸化した受け答えなんてものを否定するかのごとく、 丁寧に自分の言葉を探しながら、正直に受け答えするタイプの人物であった。
果たして斉藤圭はどこまで=天王洲神楽なのか!? 
では、そのやりとりの一部始終を、どうぞ……。 
オーディションの時点では、まだ学生だったんでしたっけ?
  「そうです。専門学校生です」
何系の学校だったの?
  「ビジネスです」
全然、声優と関係ないですね。
  「関係ないです(笑)。WordとかExcelの使い方とかを勉強してました」
ということは、ちゃんとお固い会社に就職しようと思ってたんだ?
  「はい」
アニメ好きではあったんですよね?
  「そうですね。アニメは好きで……」
でも、現実的には、声優になろうとは考えていなかった?
  「そうなんです」
それでは、どうしてオーディションに応募したんですか?
  「姉がこういうオーディションあるんだよ、受けてみたら? って」
ということは、家族は圭さんが“声優になりたい”っていう気持ちを持っていることを知っていたんですね。
  「いえ。姉しか知らなかったし、それも小学生の時に“声優っていいよね”って一度言ったことがあるくらいなので……。よく覚えてたなって」
じゃあオーディションには、どれくらいの本気度で臨んだんでしょう?
  「いやあ、学生最後の思い出的に、なんとも軽ーい気持ちで(笑)」
そうなんだ……。それでは、もし、声優のオーディションじゃなくて、タレントのオーディションだったとしても受けた?
  「いえ。タレントになりたいとは特に思わなかったと思います」
オーディションのときは神楽がどんなキャラかっていう説明はありましたか?
  「ちょっとだけ。“イノセントな15歳の女の子”という感じで」
オーディションの審査で候補者たちが演じた神楽のセリフの音声データって、『スピードグラファー』のホームページで今でも聞けるようになってるんだけど……。
  「え? そうなんですか? やだなあ〜」
あのセリフを喋るときは、どんな風に演技しようと思ったんですか?
  「う〜ん……。演技はしてないです。本当にそのままで」
杉島監督は既成の色が着いてないところが良かったって言ってました。
  「色? 色って……何ですか?」
他の候補者の人たちって、プロの声優じゃないのに、すごくアニメっぽい演技をした人が多かったそうなんですよ。だから逆に、演技をしない、斉藤さんの声に、これから伸びていく可能性を感じたっていうことじゃないですか。
  「ありがとうございます(笑)」
自分なりに分析すると、合格した要因はどこにあったと思います?
  「運が良かったのかなあ? って思いますけど……」
普段から運は良いほうですか?
  「めちゃめちゃ悪いほう」
普段から運は良いほうですか?
  「本当に悪いんです!」
じゃあ、神楽役を射止めるために運を取っておいたんじゃないですか?
  「そうかな? でもオーディション期間中のお正月に、おみくじをひいたら大凶だったんですよ。それで、あ、これダメだって」
大凶ってのも、なかなか無いですよね。
  「(笑)」
じゃあオーディションに合格する自信は……。
  「無かったです」
全然?
  「まーったく無かったです。本当に合格するとは思わなかったです」
オーディションのとき、他の候補者の人たちにも会ったと思いますけど、その人たちと比べて“自分、いけそうだな”とか、思わなかったですか?
  「いえ。思わなかったです。肩身狭くて、あ、すみませんって感じで」
合格したときは?
  「え? 嘘? っていう……」
合格の通知って、どういう風に受け取るんですか?
  「電話をいただいて“あなたが合格しました”と」
その時点では、家族はオーディションを受けてることは知ってたわけですよね?
  「最終オーディションに行く前に言いました」
でも、合格したって聞いたら、みんな驚いたでしょう?
  「はい。驚いてましたね〜」
オーディションに受かってなかったら、今頃は……。
  「OLです」
オーディションの時点で就職先は決まってたんですか?
  「決まってました」
じゃあ、すでに決まっている会社と、声優と、どっちを選ぶかって状況になったわけですね。悩みましたか?
  「ええ。もう、だいぶ(笑)」
もしかして、そこでOLを選んでいたかもしれない?
  「そうですね……」
ご両親はどんな反応を?
  「よく考えろって。……怒られました」
怒られたんだ(笑)
  「でも、やりたいならやればいい、と言ってくれて」
お姉さんは?
  「姉は、ちょっと責任を感じてた……」
喜ばないんだ?
  「“ごめん、受かると思わなかった”って(笑)」
オーディションの期間中から、いっぱい写真を撮られてましたよね。写真を撮られることについては、どんな気分でした?
  「オーディションってこんなものなのかな、って思ってました」
割と写真に撮られなれてる印象を受けましたけど……。
  「いやもう、カメラマンさんにされるがまま」
照れとかはなかったですか?
  「いえ、こういうもんなんだな、と割り切って。他の方も、ちゃんとやられてましたし」
自分のチャームポイントはどこだと思いますか?
  「え〜っと……。う〜ん……。特には……無いですけれども……」
斉藤さんの写真を見ていて印象的なのは、強い目をしてるな、ってことなんですけど。
  「目つき悪くないですか」
いや、いや。そこが……目の強さが、いいな、と思います。
  「はい。わっかりました! ありがとうございます」
初めてのアフレコはどうでしたか? 緊張感は?
  「ありました」
どれくらい?
  「身動きできなかったです。カチカチです」
今は慣れました?
  「今は……だいぶ……」
天王洲神楽というキャラクターを演じるにあたって、監督からは、どんな指示がありましたか?
  「一番最初のセリフの時は、素のままででいてくださいって。演技とかじゃなくて、そのままで、ということでした」
なるほど。でも、そのままでっていう指示も……。
  「難しいですよね」
あれ? 素の自分ってどんなだったっけ? ってなっちゃいそうですよね。それで、うまく素になれました?
  「いや……もう……見てられないくらい」
杉島監督は、斉藤さんのことを、すごい度胸があるっておっしゃってました。周りが名のあるベテラン声優さんばかりなのに物怖じしないって。
  「いえ、そんなことはないです!」
先輩の声優さんから、学んだりすることはありますか?
  「はい。すごくよく演技のことを教えてくれて……。最初は、台本の持ち方とか、マイクの入り方、立ち位置とかから。本当に何もわかっていなかったので……」
演技に関するアドバイスって、具体的に言うと、どんな感じですか?
  「そうですね……。距離感を考えて、とか」
距離感っていうのは……?
  「キャラクターとキャラクターの距離です」
なるほど。確かに遠くの人に話しかけるときと、近くの人に話しかけるときでは、声って変わりますよね。確かにそれを意識的に考えてやるのって、声優さんならではですよね。
  「実際に、登場人物同士が、どれくらい離れているのかイメージするんです」
では、アフレコ中に、こんな失敗しちゃったよ〜みたいなエピソードってありますか?
  「ああ、えーっとですねぇ。録ってるときにお腹がすごく鳴っちゃって、恥ずかしかったことが……」
かわいい失敗だな〜。
  「(笑)」
インタビュー・構成:サガラノブヒコ
>>第2弾へ続く・・・

 

©2005 GONZO / TAP