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スタッフ

■杉島邦久氏 第一弾
最初に『スピードグラファー』の企画書を見たときの第一印象は?
  「まず、よくこの企画が通ったなあ、という。本当にこれをテレビでやるの? というのが第一印象でしたね」
『スピードグラファー』の企画で魅力を感じたところは?
  「そのやばさが逆に良かった(笑)。普通は、もっと採算のとれそうな企画しか通らないですよね。どのアニメ制作の会社でも、大抵その時に流行っているもの……最近では萌系とか、ボーイズラブ系とか、または人気のある原作もの。そういうものでなければ通らないですよ。そういう中で、全然マーケットを無視した、冒険的な企画というのは、作る側としては魅力的ですよね」
企画書の時点では、どのような内容が決まっていたのでしょうか?
  「うーん……。メインのキャラクターは大体決まってまして。あと、大まかな世界観ですね。過去にバブル戦争というのがあって、バブルは一部の社会層ではまだ終わっていない。それから、主人公がカメラを使って爆撮するんだ、ということが最初から決まっていましたね」
現在の神楽は、とても大人しいキャラクターですが、企画書では違ったようですね。
  「そうですね。現在の神楽は、籠の鳥だった両家のお嬢様が自由を求めて……というポジションになっていますが、企画書の時点では、昼は普通の女子高生、夜はストリッパー、という設定だったんです。二重人格で、ミステリアスな。それで雑賀を、ある種誘惑するような形で逃避行に入るという流れがありました」
現在の神楽とは180度と言っていいくらい違いますね。なぜそこまで変更したんですか?
  「そうですね……。もうちょっと視聴者が感情移入できるようにというか……。視聴者が、この子のことを可哀相だとか、どうなっちゃうんだろう? って心配させられるような存在にしないといけないな、というのがありました。それに、雑賀が連れて逃げるというときに、その理由が必要で。主人公が、強い女の子にひっぱりまわされるだけの話になっちゃうのは、どうかと思ったので」
今、視聴者が感情移入できるように、と仰いましたが、ターゲットとなる視聴者の年齢層っていうのはイメージしてますか?
  「一旦アニメを卒業しちゃった人たちですね。かつてアニメを支持してきたんだけど、今は就職してたりとか、大学通ってたりで、全然観なくなっちゃって、しばらく観ないうちに随分アニメはコアな部分に特化して行ってしまって、もうちょっとついていけないなあ、という人たちに、いやいや、こういうのもあるから観てくださいよ、みたいな。だから割と年齢層は高めにターゲット設定したんですけれども。下は大学生くらいから、上は40代、50代に近いくらいの人まで。多分、今の日本では、それくらいの年代までは、そんなにアニメに拒否反応を示さない人たちだと思うので。そんな人たちに観てもらえるような内容にしようと思ったんです」
『スピードグラファー』の企画には、他にも斬新な試みが沢山ありますね。ヒロインの声優を一般公募のオーディションから選ぶというのは驚きでした。
  「そうですね。一般公募って結構冒険ですよね」
選考過程には関わっていたんですか?
  「第二次審査から加わることになりました」
結果的に斉藤圭さんが選ばれたわけですけど、斉藤さんが選ばれた理由ってどこにあると思いますか?
  「私も彼女がいいな、と思っていたんですけど、その理由としては、既成の色が付いていなかったので、これからいかようにもなっていけるっていうことがありました。もちろん神楽にぴったりの芝居をしてくれる人がいれば、それが一番良かったんでしょうけど」
一般公募ということなら、どの人にも、色は着いてなかったんじゃないんですか?
  「ところが、いかにもアニメ声優という感じの演技をする方が圧倒的に多かったんです。そういうアニメアニメした芝居をこの作品ではやりたくなかったんです。もちろんそれでも、全然使えないようなレベルだったらお話にならないんですけど、彼女の場合は、そこそこできるんじゃないかという見通しがありましたね」
どうしてですか?
  「審査のとき、全員に同じ芝居をしてもらったんです。斉藤さんの場合、台詞をちゃんと自分のなかで咀嚼して、一回目より、二回目のときのほうが格段に上手くなっていて、そういう努力が自然にできるという点でとても良かった」
では実際に神楽役を演じてみて、斉藤さんの良いところはどこでしたか?
  「やっぱり、全然色がついていないので、割とこう、こちら側の要望にすんなりと入っていける。既成の色が着いちゃっていると、どうしてもそれに邪魔されて、なかなかやろうとしてもできないところってあるんですけど、それが無かった分、馴染みやすかったり。あとは、物怖じしない性格かな。『スピードグラファー』の他の声優さんたちって、皆ベテランのすごい人ばっかりなんですよ。下手な新人の声優だったらびびっちゃうというところなんですが。彼女は何の物怖じもせずに堂々とやっているのですごいなと思います」
逆にもっとこういう部分を伸ばしてほしいという部分がありますか?
  「それは、やっぱりまだまだなところはありますね。もっとちゃんと演技をして、的確な芝居を……ちょっとした息遣いなんかで感情が表現できるようになるといいなと思います」
シリーズ構成に吉田伸さんを指名したのは、どうしてですか?
  「以前に一緒にやっていたというのもあるんですけど、彼に頼んだ一番の要因は、シナリオにとんでもないアイデアを盛り込んでくることにあるんです。普通の発想では、こんなことは考え付かないだろうという。そういうアイデアが絶対この作品には必要なんだろうなと」
そのとんでもないアイデアというのは、具体的に作品の中でいうとどこに出てますか?
  「2話で、神楽の弁当箱が空だったり、神楽を助けるつもりの先生が、逆に神泉に寝取られて、裸で札束を抱えて逃げていくところとか(笑)」
えげつないシーンでしたね(笑)
  「そういう、シチュエーションとして、エッとなるようなことを考えてくれる人なんで」
インタビュー・構成:サガラノブヒコ
>>第2弾へ続く・・・

 

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