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砂ぼうずアクションフィギュアへの道!

★ 企画!
04年、新学期が始まった頃「砂ぼうずDVD限定版の特典はなににしようぞ!」とスタートしたわけですが、正直いろいろ案が出ました。それこそ「エアガンつけちゃう?」とか、おいおい誰がほしいのだ!みたいな企画も一杯。
でも初めから「砂ぼうず」はある意味、他のアニメと違って「お馬鹿だけど、相当本物志向」みたいなコンセプトで突っ走っていました。

中にもちろんフィギュアの話もあったわけで・・・でも普通に金型作ってフィギュアで楽しいのか!皆はそんなものが欲しいのか!って話になったわけで、「じゃ、動かしてみよ。」の一言で一致団結。
砂ぼうずの作品のコンセプト、リアリティ追求、ミリタリー繋がり、を検討。

更に、アクションフィギュアって基本的に日本で市販されているフィギュア素体ってそんなにバラエティーに富んでいなく、顔や装備は違うけど、服を脱がせるとみんな一緒なんてことも・・・!?

だったら、私どもで世界に一つしかないモノを作っちゃうぞ!と思ったまではよかったのですが・・・。



★ 粘土!

さて、何から手をつけましょうか。と。スタッフの中にアクションフィギュアなんて作ったことがある人間が居るはずなく、そのときは知る術もない死のロードが始まるわけです。

まずは関係スタッフにイメージできるよう、実寸レベルの粘土モックを作りました。なんとでかいことかと。
「全然似てないし大丈夫か〜(プロデューサー)」の無常な一言。
この段階でそんなこと言うな!!!と内心思いながらも、隣に既存素体を並べて、とにかく日本人らしくするべく打ち合わせの日々。



★ 粘土2!

さらに細かく設定された素体を粘土で制作。
いってみれば原型の原型つくり。体と顔を別進行でクオリティを「高く!高く!」と合言葉に必死な頃。
エンターブレインさん(もちろんうすね先生も)、稲垣監督、吉松さんのチェック確認!
「砂ぼうずって、悪そうな顔してるな」と一同!



★ アイテム!

素体以外ももちろん重要。金モノ・布モノ、手探りしながら原型つくり開始。


特に銃器は細かくて、大変。パソコンで設計図を引きながら、レーザーで原型つくり。

結構ハイテク駆使したり、かたや、がでかいとか、初歩的リテイクの繰り返し。

なんどとなく、リテイク、リテイク、リテイク・・・。
フ〜!!!




★ アイテム2!
なんとなく全体像が見えてきた!
砂ぼうずっぽくなってきて、スタッフ一同盛り上がる。
でも、まだまだ各アイテムのクオリティ、着彩、サイズ、縫製などなど、細かな指摘一杯段階。
でもいい感じでモックが仕上がった頃。




★ アクション!

来たぁ〜!?ついに関節動き出す瞬間!

関節部分とかあまあまだけど、ほお擦りしたい気持ちになるね。世界でたった一つの素体だ〜。 砂ぼうずの素体だ〜 って喜び!

確かにこんな素体見たこと無いってことで上々の滑り出し。が、本当の試練はこっれからなワケで。この段階では知る術もなく。



★ 中国! 04年10月〜

モック⇒原型も完成度を増し、いよいよ中国上陸。
着彩もいよいよ本工程と同じ流れでテスト・テスト・・テスト・・・。うんテスト!
金型も各アイテム慎重に、リテイク・リテイク・・リテイク・・・。

「どこでもドアが欲しい〜まじ欲しい〜」と願いつつも、努めて冷静に作業を進行。

現地の皆、ありがとう!



下記現地スタッフの言
アクションフィギュアの概念を覆す、ボディバランス(8頭身ではないなど)に驚き。高品質を求める日本市場が本当にこんなスタイルのボディを要求しているのか?と心配に…(水野灌太には失礼ですが・・・)
1/6モデルとしては最高水準のデティールを表現できた銃器だと自負。
ウィンチのハイテク性がありながら、傘が藁葺きであるため、この美的性が全く理解できない。 (ファッションや音楽でもアンバランスがカッコ良く感じるという感覚が現地ではないのです)
本当にこんな時代が来るのか?日本では当たり前のようにこの時代の到来を予測しているのか? ※砂ぼうず原作を読んで。



★ リテイク!
砂ぼうずを忠実に再現しようと、ひたすらリテイク繰り返しました。
もちろん全部のパーツが大変だったけど、特にここは!という個所をちょっと紹介。
つまりこだわりどころです!!!

○顔 髪の毛と目の塗装が大変。表情に影響のある部分だし共に色は黒ですが、深みのある黒とツヤのある黒、マット調の黒、やや茶を感じる黒など何度もトライしちゃいました ○体 塗装ではなく樹脂色のため、日本人らしい肌色を表現するのが大変です。関節内部は樹脂パーツの素材を耐久性の高いものへ変更したり、金属パーツも多用し、その動きを何回もトライ。当然、落下や引っ張り強度も行って(本当です。)市販製品以上のスペックを実現しました。
○ベスト 今回のパーツで一番難易度の高い商品。中にクッション材となるウレタンパーツの弾力性、生地のほつれを防ぐためのヒートカット、各ポケットや肩パッド部分の縫製はピンセットを使用しながらの縫製、ウインチとの接合部分の位置決めのトライなどなど。随所にこだわりがあるため、工程数が極めて多く、量産構造の決定にそうとう苦労をしています・・・。 ○ナイトスーツ 機能性を重視し、伸縮性の高い生地製作と形状製作をトライトライトライ!。特にヘルメットを装着しても着せられるための頭部分は、形状を決定するまでに苦労しましたー。



★ サンプル!
すべてのアイテムのテイク1でサンプルを作る事に。
このサンプルはみんながお店とかで見ることができたサンプルです。
最終的にはすべてのアイテムを最低テイク5まではやっているので、クオリティ的には完全満足なものではないんだけど、せっかくアクションフィギュアを特典にしたんだし、早く皆に見てもらおうと決断しました。
「やっぱり大きいなー」と一斉。

いやいや無事にサンプルできてよかった。っとー思ったら、肝心なウィンチェスターの色が緑じゃん。!!!とき既に遅し。既にサンプルすべて日本着。
「みんな、誤解を招いてごめんなさい。本番のウィンチェスターは緑でないです。はい」



★ 旅立ち!
各パーツを組立て完成させる作業が多いため、生産ラインのワーカー達の技術と意識を向上させなければなりませんのです。

実際の量産に入る前に、通常1,000体程度の試験製作をするのですが、関節パーツの動き、異音、外観などのばらつきが多かったため、3,000体の試験を実施しちゃいました。

体だけで60個ほどの大小パーツを組み立てるわけですから、ほんの少しのミスが体全体の動作や外観を損なうことになってしまう。

組み立てる方法も、樹脂だけで4種類の樹脂を使用しているため、超音波接着(熟練された工員さんでしかできません)、熱接着、通常の手加工とあり、各作業別に加工の度合いは、その現場の気温や湿度、その日の樹脂の硬度により変化させなければならんのです。

徹底したクオリティコントロールによって生み出された、俺の息子?達は、やっと箱に入れててもらえた。

「友達と仲良くするんだよ!」「人様に迷惑を掛けちゃダメよ!」なんて別れのメッセージを送りつつ、港を出発する船を涙ながらに見送る僕らでした。。。

皆〜 いっぱい遊んでもらって、大きくなれよ〜!!!




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