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あらすじ・各話紹介
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【戦争の本質、そこへ至る格差を見据えて】
<フィクションにしてリアルな戦後世界>
 まず監督としての打診があり、原作を読んで、しっかりとしたその構成に驚き、「ぜひ担当させて欲しい」と即決で返事しました。これまで手掛けてきた作品の三分の二以上は近未来を舞台にしたSFなのですが、歴史に根ざした物語、戦争をテーマにしたドラマは元々好きなもので、『パンプキン・シザーズ』にも、すんなり取り組めた気がします。
 設定自体は史実から離れたものですが、過去の社会情勢などがストーリーの下敷きとなっている部分も多く、作品の世界観は説明しやすい。この点は、SFより導入部がラクだったかもしれません。若い世代は、近現代史について細かく教えられないと聞きますが、それならそれで、こちらから伝えるべきものも多いでしょうしね。単に年号を記憶するだけでは歴史を学ぶ意味がない。むしろ、どういった状況が戦争を生み出すのか、戦争が何をもたらすかという、本質に迫れればと考えたわけです。学校の授業やドキュメンタリーを通してとはいえ、私自身、ぎりぎり第二次世界大戦の戦禍について、生々しく見聞きした世代ですから。
 ともかく、昨今の不安定な世界情勢に照らし合わせても、若い人に興味を抱いてもらえるテーマではあるはず。我々としても、アニメ作品から何かを感じ取ってもらえれば……と願いつつ制作に当たっている次第です。
<凛としたアリス、その言葉が持つ力>
 アリスは、とくに初期は頑張りすぎるキャラクターとして登場しますが、理想と現実のギャップにぶつかっている様子が作品の魅力でもある。そうした葛藤が、すなわち『パンプキン・シザーズ』のテーマと言っても間違いではないでしょう。要所要所には彼女らしい決めゼリフが出てきますが、シンプルだけどじつに説得力があって、その言葉に虚を突かれる。照れたり、媚びたりしない気持ちが、受け手の心を揺さぶる。伊藤静さんの凛とした声は、まさにアリス役にピッタリだったと思います。
 そして、真っ直ぐなアリスが壁にぶつかった時、それとなく緩衝材、潤滑油、中和剤として登場するのがオレルドなんですね。目立たないながらも、彼の配慮によって、アリスは毅然とした態度を保ちながら、徐々により広い視野で物事を見るようになっていく。アリス、オーランドが物語の中心にはなりますが、オレルドの果たす役割もじつに大きい。彼がからむことで、他のキャラクターが生き生きとしてくるし、陸情3課が、型にはまった集団ではなくなっているんじゃないでしょうか。
まだまだインタビューは続きますが、この続きはDVD Vol.1封入のライナーノートにて!
プロフィール:あきやま・かつひと
1950年北海道富良野生まれ。監督、演出家。
これまで手掛けた作品に、『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』『ガルフォース Eternal Story』(以上映画)、『精霊使い』(OVA)、『魔法少女プリティサミー』『バトルアスリーテス 大運動会』『強殖装甲ガイバー』『モンキーターン』(以上テレビ・シリーズ)などがある。
現在、個人的に“復興”を願うものは、「かつての体型」とか。