シリーズ「頼れるのは自分だけ」 2.声優イベンターの生態
アニメや漫画が「世界に誇る日本の文化」などとしてマスコミに取り上げられることも、今ではまったく珍しくもなくなった。だからといって漫画好きを公言する政治家が政府の中枢にいて、オタクから絶大な支持を得るような世の中は流石に行き過ぎのような気もするが、こういったジャンルに対しての世間からの理解が深まるのであれば、それもまたアリだろう。
さて、アニメ文化の発信者として中心を担っているのは監督やアニメーターなどのいわゆるクリエイターだけではない。キャラクターに命を吹き込む存在である声優への注目度は以前にも増して上がってきている。ORERAでも、これまで数回に渡ってフレッシュな女性声優たちに表紙を飾ってもらっているが、それもムーブメントの盛り上がりを受けてのこと。編集部内に熱烈なファンがいるから……という理由ではないはずだ(笑)。
編集部内にいるかどうかはともかく、世の中には熱心な声優ファンというのも数多く存在している。その中でも「イベンター」と呼ばれる種類のファンは、毎週末(時には平日も)にアキハバラなどで行われる声優イベントに足しげく通う者たちのことを指す。もともと「イベンター」とはイベントを運営する側の人間を指す言葉ではあるのだが、いつの間にか参加者を表す意味に転用されてしまったようだ。
そのイベンター君たちだが、一度イベンターとなったものは、休日には欠かさずどこかのイベント会場に出没することになる。「でもそれって、自分が応援している声優さんのところにしか行かないものじゃないの?」と、そう思う貴方の疑問はもっともだ。しかし、これこそが声優イベンターの最大の特徴で、とにかく「声優」の肩書きを持ったタレントであれば、等しく応援する傾向がある。もちろんその中でも、自分にとっての一番(プライマリ、ということもある)はあるにはあるが、総じて誰にでも温かい目線で接するものなのだ。そのため、一部の芸能事務所や音楽レーベルではアイドルタレントを売り出す際にあえてアニメやゲームに出演させて「新人声優」として、まずアキハバラからファン層を獲得しようという作戦に出るところもあるが、アキハバラの住人たちはそこまで騙されやすくはない。むしろ彼らは「声優」ではない女性タレントには一切の興味を示すことはないので、大概のこういった目論見は失敗することになる。
しかし、これまた声優ファンではない人間には不思議な話である。失礼ながら、彼らが夢中になっている声優よりも、新人アイドルのほうが年齢でもルックスでも勝っていると思うのだが――。
「おそらく声優ファンの多くは、自分の好きなキャラクターを声優に重ねて見ていると思われます。そのために、グラビアやテレビ映えする派手な顔立ちが求められる一般のアイドルとは違い、平凡でどこにでもいるようなルックスが好まれることになります。見る人次第で、どんなキャラクターにも見えるようにということですね。また、声優ファンは声優の人物像を愛しているという気概を持っているので、年齢もそんなに気にはかけません」(声優雑誌ライター)
そんな彼らが、イベンターとしての活動を続けていくには、それなりの元手が必要だ。彼らはそれ程多くない収入で働きながらも、生活費を切り詰めて、イベントのチケット代やCD・DVDの購入費に充てたり、時には声優へのプレゼントを買っていたりする。そこまでして貢いでいる彼らだけに、好きな声優の熱愛が発覚したり、結婚したりした場合にはさぞかしショックなのではないだろうか?
「声優業界ではそもそも写真週刊誌のような熱愛報道を行う媒体がないので、そのような心配はまずないといえます。自身のブログで結婚報告をすることなどはありますが、その場合は祝福ムードに包まれることが多いですね。ファンへの報告なしに、結婚していても構わずにアイドル的な活動を行う声優も中にはいるようですが」(同)
声優イベンターにとっては、声優に愛情を注ぐことは何の見返りも必要ない行為なのだろう。自分の愛する者に対して、無償で尽くしていく。この世知辛い世の中で、彼らに見習うべきことは案外多いのかもしれない。
アニメや漫画が「世界に誇る日本の文化」などとしてマスコミに取り上げられることも、今ではまったく珍しくもなくなった。だからといって漫画好きを公言する政治家が政府の中枢にいて、オタクから絶大な支持を得るような世の中は流石に行き過ぎのような気もするが、こういったジャンルに対しての世間からの理解が深まるのであれば、それもまたアリだろう。
さて、アニメ文化の発信者として中心を担っているのは監督やアニメーターなどのいわゆるクリエイターだけではない。キャラクターに命を吹き込む存在である声優への注目度は以前にも増して上がってきている。ORERAでも、これまで数回に渡ってフレッシュな女性声優たちに表紙を飾ってもらっているが、それもムーブメントの盛り上がりを受けてのこと。編集部内に熱烈なファンがいるから……という理由ではないはずだ(笑)。
編集部内にいるかどうかはともかく、世の中には熱心な声優ファンというのも数多く存在している。その中でも「イベンター」と呼ばれる種類のファンは、毎週末(時には平日も)にアキハバラなどで行われる声優イベントに足しげく通う者たちのことを指す。もともと「イベンター」とはイベントを運営する側の人間を指す言葉ではあるのだが、いつの間にか参加者を表す意味に転用されてしまったようだ。
そのイベンター君たちだが、一度イベンターとなったものは、休日には欠かさずどこかのイベント会場に出没することになる。「でもそれって、自分が応援している声優さんのところにしか行かないものじゃないの?」と、そう思う貴方の疑問はもっともだ。しかし、これこそが声優イベンターの最大の特徴で、とにかく「声優」の肩書きを持ったタレントであれば、等しく応援する傾向がある。もちろんその中でも、自分にとっての一番(プライマリ、ということもある)はあるにはあるが、総じて誰にでも温かい目線で接するものなのだ。そのため、一部の芸能事務所や音楽レーベルではアイドルタレントを売り出す際にあえてアニメやゲームに出演させて「新人声優」として、まずアキハバラからファン層を獲得しようという作戦に出るところもあるが、アキハバラの住人たちはそこまで騙されやすくはない。むしろ彼らは「声優」ではない女性タレントには一切の興味を示すことはないので、大概のこういった目論見は失敗することになる。
しかし、これまた声優ファンではない人間には不思議な話である。失礼ながら、彼らが夢中になっている声優よりも、新人アイドルのほうが年齢でもルックスでも勝っていると思うのだが――。
「おそらく声優ファンの多くは、自分の好きなキャラクターを声優に重ねて見ていると思われます。そのために、グラビアやテレビ映えする派手な顔立ちが求められる一般のアイドルとは違い、平凡でどこにでもいるようなルックスが好まれることになります。見る人次第で、どんなキャラクターにも見えるようにということですね。また、声優ファンは声優の人物像を愛しているという気概を持っているので、年齢もそんなに気にはかけません」(声優雑誌ライター)
そんな彼らが、イベンターとしての活動を続けていくには、それなりの元手が必要だ。彼らはそれ程多くない収入で働きながらも、生活費を切り詰めて、イベントのチケット代やCD・DVDの購入費に充てたり、時には声優へのプレゼントを買っていたりする。そこまでして貢いでいる彼らだけに、好きな声優の熱愛が発覚したり、結婚したりした場合にはさぞかしショックなのではないだろうか?
「声優業界ではそもそも写真週刊誌のような熱愛報道を行う媒体がないので、そのような心配はまずないといえます。自身のブログで結婚報告をすることなどはありますが、その場合は祝福ムードに包まれることが多いですね。ファンへの報告なしに、結婚していても構わずにアイドル的な活動を行う声優も中にはいるようですが」(同)
声優イベンターにとっては、声優に愛情を注ぐことは何の見返りも必要ない行為なのだろう。自分の愛する者に対して、無償で尽くしていく。この世知辛い世の中で、彼らに見習うべきことは案外多いのかもしれない。
(C)2007 鬼頭莫宏・小学館/イズミプロジェクト
注)このサイトはアニメ版「ぼくらの」のプロモーションサイトです。
協力:小学館 月刊コミックIKKI編集部
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