アキハバラ最新メイドさん事情

メイド「お帰りなさいませ、ご主人様!」

 若くてピチピチの女の子から、こんな優しい言葉を掛けられて、笑顔でサービスをしてもらえる――メイド喫茶はまさしく男の理想郷だと言っても過言ではないだろう。日々の生活に疲れているサラリーマンにとっても、格好の憩いの場となっている。そんなメイド喫茶が“聖地”アキハバラに誕生したのは、ほんの5〜6年ほど前のこと。当時、漫画や美少女ゲームで局地的なムーブメントとなっていたメイドさんを現実世界でも再現してみようと思ったのが発想のきっかけだったとか。最初はアキハバラに集まるオタクたちだけのひそかな楽しみだったのが、いろいろなメディアで取り上げられて以来、瞬く間にその人気は全国へと広がり、今では女性客やカップルで訪れる若者も珍しくない。そして、アキハバラ内だけでも飛躍的に店舗数が増えるという現状に至った中で、各店にとってはどう他店と差別化していって、競争に生き残っていくかが最重要課題となっていく。そう、今やアキハバラでは仁義なきメイドさん戦争が勃発しているのだ!

 そもそもメイド喫茶とは、言ってしまえば給仕がメイドの衣装を着ているだけのものであって、その他の部分は通常の喫茶店とさほど変わらないものであった。しかし、現在ではすっかり様変わりし、各店が趣向を凝らしたサービスを行うようになっている。その中でも定番化したものといえば、オムライスにケチャップでメッセージを書く、一緒にゲームをして遊ぶ、ポラロイドでツーショット写真を撮る、などなど……。どれも他愛もないといえば他愛もないのだが、こうも“風俗業”的なサービスばかりになってしまうと古参のメイド喫茶ファンとしてはいささか複雑な気持ちになってしまう。入店時にはぶっきらぼうな態度で接客してきたくせに、いざ帰ろうとすると急に甘えてくる「ツンデレ」サービス辺りになると、もはや何が何やら! ツンデレの定義云々はここでは置いておくとしても、やはりメイド喫茶としてはどうかと思わざるを得ない。それに最近では、メイドとは似て非なる、同種のコスプレ系喫茶もちらほらと見受けられる。つまりは妹だったり、(修道女のほうの)シスターだったり、ナースだったり、スク水だったり。アニメキャラのコスプレをするお店では、そのキャラになりきっての小芝居や主題歌に合わせたダンスも披露しているとか。そこまで徹底していれば、芸として評価できなくもないけれど。

メイド

 また、同業者を出し抜くためのアイデアとしてメイド喫茶の「喫茶」の部分を他のサービスに変えたお店も出てくるようになった。メイド美容室、メイドマッサージなど、アキハバラを歩いていればそのような看板を目にしたこともあるだろう。地方から上京してきた初心者を相手にしたメイドさんバスツアーや、女性客向けのメイド服貸出しサービスなどは、なかなか面白そうではある。こちらはまだ数の上ではそれ程多くはないので、もし貴方がメイド事業に参入しようと思うなら、今がチャンスかもしれない。新しい「メイド○○」を思いついただけで、巨万の富を得ることも不可能ではない!?

 やはりメイドさんは、いろいろな意味で夢とロマンが詰まっている存在なのである。